わたしの専門はトラウマのケアですが、
わたしの業界で一世を風靡している、
「ポリリズム理論(仮名(笑)。以下P理論と省略)」
という理論があります。
アメリカの某大学の某博士が 提唱したもので、
もともと十把一絡げにされていた ◯◯神経を
「△△神経」「××神経」の二部門に分け、
危機に直面したときに凍りついて、
自己保全モードに入る△△神経と、
社会的つながりによって安全を確保する××神経は、
それぞれ違う働きをしていると捉える
理論です。
(ものすごーく、 ざっくりした説明ですが)
この理論は、
トラウマセラピー業界を中心に、
むちゃくちゃ、
もてはやされており、
日本でも
P理論の解説書や
P理論にもとづいた
何やら新しそうなセラピー技法などの本が
何冊も出版されています。
「この理論を使えば、
なぜ性暴力の被害者が
その瞬間凍りつくのかが
解明される」とか、
「生きづらさの理由を
説明するには
格好の理論」とか。
・・・わたしはたまたま、
この理論を
日本で最も早く知った
人間の一人ではありますが、
なぜこれほどこの理論が
日本でもてはやされているのか、
正直言って、
さっぱり理解できません。
(・・・・本当に小声で言うと、
そこにはお金の匂いが するからではないかと
思っておりますが 笑)
トラウマ反応が起こるしくみは、
わざわざこの理論を引っ張り出さなくても
もっと簡単に説明することができるし、
そもそも、
いくら理論を構築したところで、
それだけで人は癒やされないし、
理論を理解しつくしている専門家が、
良い臨床家だとは
全然限りません。
別にP理論に限らず、
わたしは、
「難しい理論」というものは、
すべて警戒したほうが
いいと思っています。
そこに
「米国の最先端の脳科学」とか、
「画期的な新しい方法」とかの
キャッチコピーが入れば
なおさらです。
いかにも賢そうな
効き目がありそうな
最先端そうなことを、
自分にはよくわからない
難しい言葉で語られると、
人は簡単に
だまされてしまいます。
これは本当に大切なことなので
声を大にして言いたいのですが、
いわゆる「専門家」が指摘することと、
あなた自身の体験が
一致しない場合、
常に正しいのは、
あなた自身の体験です。
最近、
わたしのクライアントさんの一人が、
かつて通っていたセラピーでのつらい体験を
長いメールにして送ってくれたのですが、
そこに、
「自分の身体感覚がわからないので、
私を見てわかるセラピストが代弁してくれる、
と思っていました」
と書いてありました。
(ご本人の許可を得ています)
似たようなことを考えている人は、
ひょっとしたら多いのかもしれませんが、
いわゆる専門家に、
偉そうに自分を分析させることは
決して、
許してはいけません。
(自戒を込めて)
あなたの感覚は
あなた自身にしか
わからないのです。
そして、
自分にとっての真実は
常に
とてもシンプルです。
嫌なものは嫌
好きなものは好き
美味しいものは美味しい
まずいものはまずい
本当に、
馬鹿みたいに、
単純です。
それを複雑にしているのは
ただの頭。
わたしはつねづね、
クライアントさんに、
「身体は、一語文しか話さないよ」
と言っています。
苦しい
楽しい
うれしい
空腹だ
満腹だ
痛い
心地いい
温かい
冷たい
柔らかい
固い
好き
嫌い
つらい
・・・・。
なぜなら、
わたしたちの基本的なニーズを訴えているのは
いつも、
わたしたちの中にいる
ちいさな子どもだからです。
それを複雑にして
いかにも難しそうにするのは、
「大人」である自分のプライド、
つまり、
頭の働きです。
人は
思考のみによって、
根本から癒やされることはないと
わたしは思っています。
癒しは常に
身体で起きるもの。
そして
身体の声を聞いて
自分を癒していくのに
ポリリズム理論など
こむずかしい理論を持ち出す必要は
まったくないです。
あなたの身体は
あなたにとって必要なものを
すべて備えています。
あなたの心身の
最大の専門家は
あなた自身なのです。
それをどうぞ、
忘れないでくださいね。
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