Oprah and Lance Armstrong


思わず時間を忘れて見入ってしまいました。


自転車競技の元王者ランス・アームストロングが、長年に渡るドーピングを認めたオプラ・ウィンフリーとのインタビューの映像です。

ランス・アームストロングは、精巣がんを克服したのち、ツールドフランスで前人未到の7連覇を達成した、カリスマ中のカリスマでした。
ツールの7連覇というだけで信じられないことなのに、
それが闘病後の偉業だったのでなおさら、
彼は全米で、教科書に出てくる人物のようなもてはやされ方をします。
(私のカリフォルニアの大学院時代にも、教授の一人が、彼の自伝「It’s not about the bike」を強く薦めていたほどです)

その後、彼に対するドーピング疑惑がチームメイトたちによって次々と証言され、ついに昨年、7連覇のタイトルを剥奪されるに至るのですが、
彼自身は、ずっとそのことを否定していました。

これを公の場ですっかり明るみに出すというのは、彼にとってどれほどの葛藤だったろうかと思いますが、
私がしみじみ感じたのは、オプラ・ウィンフリーという人物がいなかったら、彼はきっと死ぬまでこのことを告白する勇気がなかったのではないかということでした。

このブログでも、何度か彼女の話をしたことがありますが(こちらこちらなど)、
彼女は、本当に素晴らしいインタビュアーです。

私は彼女が大好きで、彼女の番組の20周年記念DVD6枚組セットを持っているくらいなのですが(笑)、
私が彼女からいつも感じるのは、何とも言えないハートの大きさと温かさです。

白人至上主義のグループをスタジオに招いたショーで、
黒人の彼女は、彼らのどんな侮辱的な言葉も、感情的にならずに受け止め、
そのうちの何人かは、何年も経ってから再び彼女のショーに登場し、涙ながらに彼女に謝罪していました。
社会の中で日が当たらずに黙々と生きている人にスポットライトを当てたり、
難病で苦しむ子どもと交流したり、
拒食症の女性をスタジオに招いたり、
刑務所で性犯罪者を直撃したり、
彼女がインタビューした人はこれまでに一体何千人にのぼるのか分かりませんが、
彼女の真摯で率直、そしてユーモアのある態度は、相手がどんな有名人でも一般人でも変わりません。
メディア嫌いの有名人も、彼女のインタビューにだけは応じる人が多く、
かのマイケル・ジャクソンですら、あらゆるメディアに登場しなくなった後に、彼女の番組でロングインタビューに答えたことがあるほどです(これも、素晴らしく感動的なインタビューでした)。

今回のランスのインタビューも、それはもう鋭い質問の連続で、
以前彼が別のインタビューでドーピングを否定している映像や、ツールで7連覇したときのスピーチの映像を一緒に見て、
「今これを見て、あなたは何ておっしゃいますか?」
「あなたは当時、何を達成しようとしていたのですか?」
「あなたは、真実を話した人々を訴えていましたね?あれは一体何だったのですか?」
など、容赦がないのですが、
彼女のまなざしは、非難や正義を超越していて、
ランスも、できるだけ真摯に答えようとしているのが良く分かりました。

彼は嘘に嘘を重ねて生きてきた訳ですから、
ようやく自分の重荷を解放することができて、どれだけほっとしたことだろうかと思います。
もちろん、そのために払う世間的な代償は大きいでしょうが、魂の重荷に比べればまったく比較にならないことでしょう。

世の中は水瓶座の時代に入り、
これからは、不正や隠れた犯罪が、どんどん明るみに出てくることになると思います。
それは、そういうことを行っていた人々を糾弾するためにではなく、
この世界が、少しでも光の方向へ近づくために起きていることだと思います。
そして、オプラは間違いなく、そのための大きな役割を担っているんだなと感じます。

こんなにすごい人なのに、日本での知名度がほとんどないのも面白いですよね(笑)。

オプラにいつか直接会うことが、私の大きな夢のひとつです。