良いセラピストの見分け方


わたしのクライアントさんには、
わたしのところにたどり着くまでに、
何年も何年も、癒しに取り組んできた人がたくさんいます。

 

彼らは、 多くの心理学やセラピー関係の本を読んで、 それらの本に書かれていることを実践してみたり、
(1000冊読んだという方もいらっしゃいました)
何人ものカウンセラーにかかったり、
何件もの医者めぐりをしたりして、試行錯誤したものの、
思うように回復できなかった方たちです。  

 

そして、
「ちえこさんのセラピーを受けて、
あまりの技術の差に、前のカウンセラーさんに騙された感がある」 とか、
「あのセラピストのせいで、何年も周り道をしてしまった!」 など、
以前のセラピストさん達に対して、怒りが抑えきれない人も、中にはいます。  

 

クライアントさんたちの気持ちは、とてもよく分かるのですが、
わたしは、その専門家たちを責める気持ちには、まったくなれません。

 

なぜなら、
どのカウンセラーやセラピストも、
自分なりのベストを尽くしてセラピーを行なっているはずだからです。

 

セラピストになる過程で、どのようなメソッドや先生に出会うかは運だし、
どのメソッドが有効で、自分のスタイルに合っているかを見極めるのも、
なかなか難しいことです。

 

(だからわたしは、 自分の幸運に、常に感謝しています。
世界一素晴らしい米国の大学院をたまたま知り、
素晴らしい教授陣、素晴らしいメンター達に出逢い、
セラピストとして十分な訓練と経験を積むことができたわけなので)

 

でも、助けを求める側にとっては、
良いセラピストに巡り会えるかどうかは、死活問題ですよね。

 

 なので今日は、あなたが大きな回り道をする前に、
良いセラピストを見分ける方法のひとつを、 お伝えしようと思います。

 

 

わたしが思う、良いセラピストの絶対条件は、
「自分ができることと、できないことがはっきり分かっていて、
できないことはできないと、
クライアントにきっぱり伝えられる人
」 です。

 

 

 村上春樹の「ノルウェイの森」の中に、 こんな文章があります。  

 

「ねえ、お金持ちであることの最大の利点ってなんだと思う?」

「わからないな」

「お金がないって言えることなのよ。
たとえば私がクラスの友だちに何かしましょうよって言うでしょ、 すると相手はこう言うの、
『私いまお金ないから駄目』って。
逆の立場になったら私とてもそんなこと言えないわ。
私がもし『いまお金ない』って言ったら、それは本当にお金がないっていうことなんだもの。
惨めなだけよ」

 

似たようなことが、セラピストにも当てはまると思います。

 

良いセラピストは、
「わたしにはこれはできません」とはっきり言えますが、
経験の浅いセラピストほど、 それが言えません。

 

なぜなら、経験の浅いセラピストは、
「『できない』と言ったら、専門家としての評判に傷がつく」
「クライアントの期待を裏切ったらいけない」
(本当は、いくらでも裏切ったっていいんですが)
「もうクライアントがセラピーに来なくなるかもしれない・・・」
(本当は、来なくなったって全然いいんですが 笑)
と考えがちだからです。    

 

そうした恐怖があると、なかなか「できない」とは言えないですよね。

 

だから、あなたがかかっているセラピストが、
きっぱりと、 「わたしにはこれはできない」と言う人であれば、
それはその人が、ちゃんと熟練し、信頼できるセラピストだという証です。  

 

経験を積み、熟練すればするほど、
自分ができること、できないことの見分けがつくようになります。

 

そして、自分の手に負えないと判断したら、
それをはっきり相手に伝え、
しかるべき機関や別のセラピストを紹介するのが、
真にプロフェッショナルな、セラピストとしての姿勢です。

 

未熟なセラピストほど、クライアントを抱え込みたがるものです。

 

抱え込む理由は、
経済的な問題だったり、
クライアントに精神的に依存していたり、
(自己肯定感が低いと、「頼られる」ことに対するニーズが大きくなります)
いろいろです。    

 

でも、お金や自己肯定感が必要だから、
本当は自分が相手の役に立っていないとひそかに知りつつも、
ずるずるとセラピーを続ける・・・というのは、
職業倫理に欠ける態度だと、わたしは思います。  

 

それは、クライアントさんの貴重なお金と時間を、
奪っていることに他なりませんから。     

 

わたしにも、セラピーでできないことはもちろんあります。

 

つい最近、あるクライアントさんに、こう言われました。  

 

藤原さんなら、わたしのことを救ってくれると思いました」    

 

それに対して、わたしはきっぱり、
「あなたを救うことはできません」
と答えました。    

 

だって、本当にできないからです。    

 

わたしは、他のどんな人のことも、救うことはできません。
残念ながら。    

 

続けて、わたしはその方に、こう言いました。

「でも、あなたが自分で自分を救うためのサポートは、
全力でしますからね」    

 

はい、わたしにできることは、
クライアントさんたちが、
自分の力で回復していくための、 サポートをすることだけです。    

 

その「サポート」は、
セラピーそのものはもちろんですが、
それ以外にも、
必要であれば、適切な自助グループやボディワーカーにつなげたり、
時には職探しや食生活などのアドバイスなど、多岐にわたります。
(そして、サポート内容は、個々のクライアントさんによって全員違います)  

 

だって、サポートは、多い方がいい。

 

そして、サポートはあくまでも、「サポート」です。  

 

他の誰かが、あなたを癒してくれるわけでは、ないのです。    

 

癒しは、常に自分でやるものです。    

 

 

でも、
「自分でやる」のと、
「一人でやる」のは違う。

 

 

癒しには、伴走者が必要不可欠です。

 

だから、伴走者を選ぶ際には、
「ここまでは伴走できるけれど、
ここから先はできないので、
別の人を探してくださいね」 と、
はっきり伝えてくれる人を、選ぶといいですね。    

 

 

あなたが、もし自分を癒すための助けを必要としているのでしたら、
そんな伴走者としてのセラピストに出会えるよう、
わたしは心からお祈りしています。

 

 

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