本当の護身術


最近、とても興味深い記事を読みました。

 

「ガールズバーでいつも胸を揉んでくるセクハラ親父の対処法を検討し、相手の傾聴に徹したらセクハラ行為が止まった」という話です。

このコラムの筆者の意図とはちょっとズレるかもしれませんが、
トラウマセラピストとして、「自分の身の守り方」について本当に多くの気づきをもらったので、今日はそれについて書いてみます。

 

私たちが、危険を回避するために取れる防衛行動は、原始的なものから順に以下の3段階があります。
1.
凍りつく
2.
逃げる/戦う
3.
社会的つながりを持つ

第1段階の凍りつきは、一瞬で起きる交通事故や乳児期のネグレクトなど、自分の身を守るすべがないときに発動される防衛戦略です。
危機のインパクトを最小限にするために神経系を凍りつかせ、痛みを感じないようにすることでその場を切り抜ける方法です。

 

第2段階の逃げる/戦うは、危機に対して動いたり判断したりする余裕がある場合に発動されます。
危険への対処と聞いて普通の人が真っ先に思い浮かべるのがこの二つでしょう。

でも本当は、どちらもできなくて凍りついてしまうケースの方が圧倒的に多いのです。

特に非力な女性の場合は、男性から襲われるような場面に遭遇すると、逃げたり戦ったりするよりも、その場で凍りついてしまうのが普通です。
(そしてそれを、「抵抗しなかったから」というだけで性的合意があったと見なされるという、とんでもない判例がいまだにまかり通っているのが日本という国です)

そして、防衛戦略としてもっとも洗練されているのが、第3段階の社会的つながりです。
危機に直面した時に、凍りつくのでも戦うのでも逃げるのでもなく、相手とコミュニケーションを取り、相手とつながることによって危険を回避する方法です。
(社会的つながりには、副交感神経の最も洗練された部門である腹側迷走神経が関わっています) 

わたしは、この手法は優れて女性的な身の守り方だと思います。
力を頼みにする男性は、戦うことで相手と決着をつけようとする傾向がどうしても強いですが、
非力な女性が持てる防衛戦略は、究極的にはこの第3の手法だけなのではないかと思っています。
だって、ワンダーウーマンやスター・ウォーズのレイみたいな女性は映画の中にしかいませんからね(笑)。

この記事のガールズバーの女性たちは、相手の話を聞く=相手と社会的なつながりを持つことで、相手からのセクハラ行為を回避することができました。
これは本当に素晴らしいことです。
その過程で、彼女たちには相手の男性に対する共感すら生まれたのです。
そして相手の男性からも感謝された。
これ以上に素晴らしい危険回避の方法があるでしょうか。

 

この記事を読んで、物理的な力を用いない、女性のための真の護身術のクラスがやりたい!という野望が沸いてきました(笑)。

襲ってきた相手から身を守るのではなく、社会的つながりを用いて相手の戦意そのものを喪失させ、相手を自分の味方にしてしまう。
女性って本来、そういう存在だと思うのです。
(現にわたしの知人には、宅配便を装って乱暴目的で家に押し入った男と会話を続け、結果的に被害を受けることなく男に家から出て行ってもらうことに成功した女性がいます)

そしてもちろん、その護身術を身につけるには、自分が過去に経験したトラウマを同時に癒していくプロセスも不可欠です。
だからクラスの半分はおそらく、グループセラピーみたいな形になるのではないかと思います。

夏至を前に、ちょっとワクワクしてきましたo(^^)o
そのうち、リリースできるといいなあと思います。

 

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