ADHDという嘘〜その4


皆様、
こんにちは。
ADHDのお話、最終回です。
(前回の記事はこちらです)

ADHDという嘘~その3

さて、ここまで、米国ではADHDを脳の機能障害ととらえたい医薬界の一大勢力があり、
そのせいで、ADHDの過剰診断が行われ、膨大な人数の子どもに薬が投与されている現状についてお話してきました。

もちろん、うつや不安障害などの精神疾患を薬で治療するのも、同じ理由からですよね。
それらの疾患は、脳の神経伝達物質の分泌に異常が生じていたり、脳機能そのものが損なわれていることが原因であるいう見方です。
これはもちろん、ある意味ではその通りです。
さもなくば、薬が効くわけないですから。
(あ、プラシーボ効果というのもあるかもしれませんけどね)

 

でも、そもそもおかしいと思うのは、脳の機能が落ちているからといって、それの解決策を単純に薬しかないと決めつけることです。
(・・・ま、そんなことを言い始めたら、西洋医学の大前提が崩れちゃうんですけどね 笑)

 

ADHDの話に戻ります。

私は、子どもが示す極端な多動や不注意、集中力のなさなどはすべて、彼らの自律神経系の調整不全で説明がつくと思っています。

 

自律神経系とはご存知、交感神経と副交感神経からなり、
交感神経は人間の活動時に優位になる神経で、心拍や呼吸を速めたり、血圧を上げたりするはたらきをします。
副交感神経は人間の休息時に優位になる神経で、心拍や呼吸をゆっくりにしたり、消化を促したり、筋肉をゆるめたりするはたらきをします。

 

子どもが継続した養育者のもと、静かで安全な、規則正しい生活を保障された環境で育てば、それらの神経は交互に正常に働き、何の問題も生じませんが、
例えば、子どもが身体的・性的・精神的に虐待されたり、
母親が父親に殴られるのを日常的に目撃したり、
子守りがわりにテレビがつけっぱなしの部屋で生活したり、
養育者がいたりいなかったり、
日々のスケジュールがむちゃくちゃで次に何が起こるか分からない予測不能な環境で育ったりといった過剰なストレスにさらされると、
身体は常に臨戦態勢を余儀なくされ、自律神経系の自己調整力が働かなくなってきてしまいます。

臨戦態勢とはどういうことかというと、何かあったときにすぐに逃げたり戦ったりできるように常に注意を張り巡らしていたり、
危険やストレスフルな出来事が起きている最中に、それを感じないように身体を凍りつかせたりしているということです。

 

その結果、常に交感神経が過剰に活性化して、
そわそわしたり、じっとしていられなかったり、衝動的だったりといった「多動」の症状が現れたり、
逆に、ストレスを受け続けることに耐えられずに神経系が凍りついてしまい、いわゆる「解離」状態になって、何事にも集中できなかったり、ぼーっとして人の話がうまく理解できなかったり、言われたことをすぐに忘れてしまったりという「注意欠陥」の症状が現れたりします。

 

つまり、ADHDは、子どもの自律神経系にさまざまな理由で調整不全が起きていることを示す症状ととらえることができるのです。

(ちなみにこれは、大人のADHDでもまったく同じです。集中できない、ぼーっとする、忘れっぽい、そわそわするなどは、すべてその人の自律神経系の調整不全で説明することができます)

 

したがって、ADHD的な症状を示す子どもがいたときに、その子に対してできる最善の介入は、
彼らの自律神経系の自己調整力をサポートすることです。

 

自律神経とは文字通り「自ら律する」神経です。
なので、外部の力に頼ると、自律神経系が本来持つ自己調整能力を奪うことになります。
投薬により脳内ホルモンのバランスを無理矢理外からコントロールするのは、本来は一番やってはいけないことなのです。
特に、脳の発達時期にある子どもへの投薬は、その子の生涯に渡り多大な影響を及ぼすことになります。

 

では、その自己調整力のサポートとは、具体的にどうすればよいのでしょうか?

 

最も重要で必要不可欠なサポートは、自己調整力が発動できるような安全な環境を作ることです。

 

安全な環境なしには、子どもの症状の改善はありえません。
何故なら、ストレスフルな環境下では、子どもの神経系は常に臨戦態勢だからです。

 

なので、子ども本人の治療(投薬、セラピーなど)を考える前に、子どものストレッサーが何であるかをアセスメントし、そのストレッサーをなくすことが最優先です。

 

子どもの最大のストレス要因は、大抵の場合、家庭環境や親子関係にあります。

 

虐待はないか、DVの目撃はないか、ネグレクトされていないか。
親が常に子どもを急き立てていないか、常に指示を出し続けていないか、常にテレビがつけっぱなしになっていないか、砂糖を与えすぎていないか。

これらをアセスメントするのは、必ずしも簡単ではありません。
もし本当に虐待などがあれば、親の側の抵抗も大きいからです。
そんな苦労をするくらいなら、子どもに薬を与えておこうと思う専門家がいても不思議ではありません。

 

そして、ストレッサーを取り除くにあたって最も大切なことは、親の自律神経系の自己調整をサポートすることです。

本当にひどい虐待があった場合は、もちろん親子を引き離す必要もあるでしょうが、
どんな親でも、子どもは親を一番愛しているので、最善の方法は、親の抱えているストレスを軽減し、親の自律神経系の安定を促すことでしょう。

子どもは本当に、親の状態をダイレクトに映す鏡なので、
親が安定すれば、子どもは放っておいても安定します。

それについては、これまでに何度かこのブログでも書いていますので、ぜひこちらの記事もお読みください。

子どもを元気にするために、親ができるたったひとつのこと

子どもはみんな、サイキック〜メアリーの話

子どもの多動や問題行動、忘れっぽさ、集中力のなさの原因が、
お母さんが鬱に苦しんでいるせいだったとしたら、お母さんのセラピーが先ですし、
お父さんが仕事のストレスを溜め込んで家でいつもイライラしているとしたら、お父さんのセラピーが先ですし、
両親が不仲で常に言い争いが絶えなかったら、両親のカップルセラピーが先です。

 

そういった子どものストレスの根本をケアせずに子どもの症状ばかり何とかしようとするのは、蛇口から水がざあざあ流れ続けているのに、その蛇口を閉めないで水浸しの床を拭き続けるようなものです。

 

何度も言いますが、親が苦しいうちは、子どもは決して元気になることはありません。
子どもの症状は、「お母さん、お父さん、もっと楽に生きようよ!」という子どもからの文字通り渾身のメッセージなのです。

せっかくだから、そのメッセージを聞いてみませんか?

それで損する人は、家族じゅうに誰もいません。

癒される過程では、親御さん自身が自分がこれまで抑え込んできたさまざまな感情をくぐり抜ける必要はありますが、親が、子どもの症状に対する責任を自分で引き受ける覚悟さえすれば、最終的には、全員がハッピーになります。

それはこれまで、数々の親子を見てきた私が保証いたします(きっぱり)。

 

さて、私的「ADHD」考、4回に分けてお送りしました。
このささやかなブログが、この「病気」のとらえ方を再考する一助になれば、本当にうれしく思います。

 

今日もどうぞ良い一日を。

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