タイの旅 その2


「夢を織る家」での今回のリトリートでは、36時間の断食もプログラムに含まれていました。36時間というと、夕食後に食事を断ち、二日後の朝食から食べ始める・・・という日程。私はこれまでに60時間の断食を二回行ったことがあるので、36時間など余裕かと思っていましたが、これが甘かった(笑)。

何故なら、ナートさんの断食は、いわゆる「ドライファースティング」、つまり、食べ物のみならず水分も一切摂らないという断食だったからです。日中の気温が30度を優に超えるタイで、飲まず食わず、です(笑)。
おまけに断食中に、このようなものをやりました。

これは、「クロロフィル・スパ」と呼ばれていました。和訳すれば「葉緑素サウナ」といったところでしょうか。
炎天下にバナナの葉を敷き、その上に寝て、さらに上からバナナの葉をかぶせてもらいます。そしてそのまま二時間横になります。上から太陽が照りつけることによって、中の気温はどんどん上がり、蒸し風呂状態に。そして温められたバナナの葉から肌に葉緑素が直接浸透して、これがとても身体に良いとのこと。
バナナの葉の良い香りに包まれながら、たくさん汗をかくのは確かにとても気持ちのよいものでした。・・・でも、水分一切摂らずにこんなに発汗して大丈夫だろうかとちらっと思ったのも確か(笑)。断食してクロロフィルスパを行うのは大変素晴らしいデトックスなのだそうですが。

その日は翌日の朝食を楽しみに、穏やかに眠りに就きましたが、翌朝目覚めると、とんでもないことになっていました。身体じゅうがしびれ、目の前が真っ黄色になり、呼吸は浅く速く、口は喉の奥の奥までカラカラ。飲み込む唾さえありません。以前の断食でも似たような状況は体験しましたが、その時はお茶と水は飲み放題だったのでこれほどひどい感じではありませんでした。おまけに明けの食事の前に、スピリットダンスやヨガなどの朝のプログラムに出なくてはなりません。

・・・これはとても無理、と思い、身体を引きずってナートさんの所へ行き、「朝のセッションは休みます」と伝えました。
するとナートさんはにっこり笑って、「大丈夫。こういう時こそ身体を動かした方が楽なんだ。昨日も言っただろう、すべては幻想だって。つらい、苦しいという考えを自分の中から追い出しなさい。代わりに、『あと一時間で楽になる』って思えばいいんだよ」
・・・ということで、サボることはできませんでした(笑)。死にそうになりながらやっとのことでスピリットダンスに参加し、その後ヨガをやって、さらに瞑想をしていると・・・何と、本当にナートさんが言うようにずっと楽になってきたではありませんか。人間の身体って、本当に不思議です。
気分良く朝のセッションを終え、待ちに待った明けの食事にとりかかりました。

ここの明けの食事は、レモン汁と塩をたくさん入れたレモン水を大きなカップに4杯飲むところから始まります。このレモン水が、しょっぱくて不味かった(笑)。あんなに喉に水分を入れるのを楽しみにしていたのに、4杯飲むのはかなり苦痛だったです。
飲み終わると、バナナを一本食べます。そして、レモン水4杯、バナナ一本・・・というのを、お通じがあるまで繰り返します。そして何度かお通じがあったら、いよいよフルーツです。

トロピカルな果物の数々は、とてもおいしかった。
今回の断食で、改めて世界中で飢えている人々の苦しみを実感し、食べ物の有難さを知りました。でも何より、人間は一滴も水を飲まなくても36時間は余裕で生きられると分かったことが大きな収穫だったかな(笑)。人間って、案外タフにできてるんですね。

断食後は、心身ともに浄化された気がしました。

私が泊めていただいたゲストハウス。南国らしい素敵な佇まいでした。
続きはまた今度。