会議が終わりました


引き続きベイエリアからです。
今回の旅の主な目的は、サンフランシスコの対岸の街バークレーで開かれた第一回国際ソマティクス・エクスペリエンス会議に参加することでした。ソマティクス・エクスペリエンス(SE)とは、私が自分のセラピーで使う主な技法のひとつで、身体を使ってトラウマを癒していく画期的なメソッドです。(詳しくはこちらをご覧ください)現在トレーニングを受けたSE療法家は世界で3000人以上います。(日本はまだ私を含め2人しかいませんが)

会議にはSE創設者のピーター・リヴァイン博士を始め、さまざまな場所から2百人を超える人々が集まっていました。

コンファレンス会場のホテル、Claremont Resort & Spa。バークレー郊外の丘の上に建つ高級リゾートです。もちろん私は泊まりませんでしたが(笑)。

結論から言うと、本当に素晴らしいコンファレンスでした。アメリカでトレーニングを受けた私には日本で同じようなメソッドでセラピーを行っている仲間がいないので、時折こうして昔の仲間に会ってサポートをもらったり、先生と話をしたりするのは本当に貴重です。自分が行っていることが世界に何かしらの貢献をしていることを実感できたし、新たな技術もたくさん学んでセラピストとしての技量を磨く良い機会にもなりました。

3日間にわたり、さまざまな分科会が開かれたのですが、これが、どれに参加していいのか迷うほど興味深いものばかりでした。「SEをEMDRなど他の技法と統合した臨床的アプローチ」「幼少期の手術トラウマの予防」といった実践的なものから「SEのアプローチからみたイスラエル・パレスチナ戦争」「いかにSEのワークを公立学校や病院や地域コミュニティで活用するか」といった社会的なテーマまで、分科会の数は実に21にものぼりました。

私は結局、どうしてもすぐにクライアントや学校、グループセラピーで応用できるものに目が向いてしまい、「慢性疼痛を反転させる」「SEを従来の心理療法の中でどう取り入れるか」「境界線を強めるグループワーク」といった実践的なものを選んで参加しました。どれも本当におもしろかったです。アメリカで心理療法を学ぶ利点のひとつは、本当に実際的で体験的に教えてくれるので、すぐにでも自分自身の仕事に応用できることです。

ピーターをはじめとする3人の研究者による基調講演も実に面白かったです。3人のうち1人は日本でもよく知られたトラウマ研究の権威、ベッセル・ヴァンデルコルク博士でした。いつも感心するのですが、こちらの学者は本当にパブリックスピーキングがうまい。どの基調講演でも笑いが絶えず、最後にはスタンディングオベーションが起きるほど。

ベッセル・ヴァンデルコルク博士(右)とピーター・リヴァイン博士。ピンボケですが。

こういう会議で日本人だと得だなあと思うのは、最初のウェルカムスピーチでピーターがわざわざ「はるばる一人、日本から来てくれた人がいる。チエコ、どこだ?」と何百人もの前で私を立たせて紹介してくれたことです。もちろんかなり恥かしくはありましたが、おかげでその後もいろいろな人が話しかけてくれて、かなり楽しい時間を過ごしました。SEをアジアに広めることが私の大きな野望なので(笑)、それをサポートしてくれる仲間がいるのは本当にありがたいことです。

とにかく、プロフェッショナルにも個人的にも、この上なく実り多かった3日間でした。どちらの意味でも、帰る場所があるって本当にいいものです。やっぱりこの仕事は孤立してはできませんから。

さてと、仕事は終わったので(笑)、あとは帰国までの残り時間を思いっきり楽しみたいと思います。