先週末、娘と2人で、植松努さんと並んで私が北海道でもっとも尊敬する人のところへ遊びに行ってきました。
下島亘さんといいます。
とてもシャイで控え目な方ですが、
わたしは、彼のことを、「プロジェクトX」や「情熱大陸」、あるいはアエラの「現代の肖像」で取り上げられてもおかしくないような現代の偉人だと思っています。
下島さんは北海道の蘭越町というところに住み、ほぼ自給自足に近い暮らしをされています。
彼が購入した22ヘクタールの山林のうち、4ヘクタール(1万2000坪)は、こんな風景でした。
特殊な土壌のせいで、過去30年もの間、ペンペン草も生えない月面のような状態になっていたのです。
きっかけは、1982年から3年間に渡って行われた、近くの尻別川の堤防工事でした。
堤防を作るため、大型ダンプ1万台分以上に当たる大量の土がこの場所から運び出されたといいます。
ここの土壌はパイライトという特殊な土でできており、
硫黄と鉄の化合物であるパイライトは、空気に晒されると硫酸に変わるという性質を持っているそうです。
削られ、空気に晒され、硫酸が生じ、そのせいで雨が降るとさらに土壌が削られる。
そんな悪循環で、この土地は30年以上も不毛な土地のままに放置されていました。
土地の酸性度、なんとph1.45だったそうです。(強酸性です)
土地を購入した下島さんは、試行錯誤を繰り返し、何千本もの木を定植することに成功し、
10数年を経て、すっかり美しい緑の森に蘇らせたのです。
彼が「硫酸山」と名付けた土地は現在、
見違えるように素敵な場所になっています。
念のためですが、上の写真は全て、かつてハゲ山だったところですからね。
信じられますか?
本当に素晴らしいですよね。
あのハゲ山を再生するのに、土壌改良を含めてどれだけの時間と労力を要したかと思うと、本当に頭が下がります。
下島さんは山の再生記をこちらの電子書籍で公開しています。
ぜひぜひお読みください。
硫酸山再生記 ~ 北海道 蘭越 ~ 硫酸が湧く不思議な小山に緑が戻った
この、わたしが北海道でもっとも好きな場所の一つである硫酸山に、4年ぶり二度目の再訪が叶いました。
しかも今回は、泊まりがけでです。
夜は家の前で焚き火を囲んでのバーベキューに加わらせていただきました。
野菜は当然、全てこちらで採れたもの。パンも自家製です。うーん、なんて贅沢。
美味しかったなー。
泊めていただいたのは、森の中のこちらの小屋。
下島さんのお友達が建てたそうです。
内部の写真を撮り忘れましたが、ソーラーパネルが設置され、ダブルサイズの二段ベッドがあり、それはそれは快適な小屋でした。
小屋の中には、これまで硫酸山に滞在した各国のウーファーさんやゲストたちのメッセージ帳があり、
皆それぞれ、ものすごくここでの滞在を楽しんだことが伝わってきました。
娘を寝かしつけたあと、下島さんが起こしておいてくれた外の焚き火の前で一人、至福の数時間を過ごしました。
わたしはキャンプが大好きなのですが、キャンプ場はもちろん、近くに他のキャンパーもいるわけです。
半径数百メートルに誰もいない森の中で一人過ごすことなんて滅多にできません。
本当に本当に贅沢な夜でした。
翌日は、草刈万里子さんのグリーンウッドワークショップに参加しました。
グリーンウッドとは生木のことで、木を切り倒すところから始めます。
今回切り倒したのは樹齢15年くらいの白樺の木。下島さんがかつて植えた木だと思うと感慨深いものがありました。
台風がきていたので、ビニールハウスに移動して作業します。
丸太を適当なサイズに切り、さらに縦に二つ割りにします。
草刈万里子さん。あちこち旅しては旅先でワークショップを開いています。後ろに写っている削り馬はなんと彼女の自作です。
わたしはハチミツ用のスプーンを作ることにしました。長い瓶に対応できるよう、柄が長めの。
センでどんどん削っていきます。これが楽しい。
あっという間に削り屑の山ができました。
少しずつ形になっていきます。
木工は不思議なほど集中できる作業で、最初はみんなでおしゃべりしながら楽しくやっていたのですが、気づいたら皆無口で無心に木を削っていました。ある意味瞑想状態で、すごく気持ちよかった。
みんなの作品です。肉叩きやドアストッパーなどもちゃちゃっと作れるんですね。
家に持ち帰り、数日置いて木が乾燥した後にサンドペーパーをかけ、亜麻仁油を塗って完成です。
世界に一つしかないマスターピース(笑)。
白樺の樹皮がいい感じです。
なぜこんなに柄が曲がってしまったのか分かりませんが、それもまた味があるということで。
なんとも言えず贅沢な2日間でした。
わたしが夢中でスプーンを作っている間、偉人に子守りをさせてしまった・・・(汗)。
無欲な下島さんはホームページさえお持ちではありませんが、
硫酸山を舞台に、キノコ観察会や森の整備など、様々なイベントをされています。
折しも、スウェーデンの16歳の環境活動家、グレタ・トゥーンベリさんが国連本部で涙ながらに怒りのスピーチを行ったばかりです。
「人々は苦しんでいます。人々は死んでいます。生態系は崩壊しつつあります。私たちは、大量絶滅の始まりにいるのです。
なのに、あなた方(大人)が話すことは、お金のことや、永遠に続く経済成長というおとぎ話ばかり。よく、そんなことが言えますね。」
私は、彼女のスピーチを聞いてからずっと、大人の一人として、彼女の真摯な投げかけと怒りにどう応えていけるのか考えています。
そして、このタイミングでどうしても、下島さんのことを世の中に紹介したくなりました。
もともと私は彼のことをワールドシフトマガジンで紹介したいと思っていたのですが、
なかなか取材の時間が取れないままに時間が過ぎていました。
(しかもマガジンの次号がいつ出るかも分からない)
でも今回、グレタさんがスピーチしたのと同じ日に私が下島さんを訪ねたのも偶然ではない気がして、
公的な媒体を待たず、自分で彼のことをプログに書くことにしました。
地球環境を守るというのは、下島さんのように、とても地道で地味な気の長いプロジェクトを、それぞれの持ち場で行うということなのだと思います。
(宇宙の子マサさんもその一人ですよね)
彼らが配っているのは、希望です。
そしてグレタさんの真摯な問いかけに、ちゃんと応えている大人たちです。
私も自分の持ち場で、自分にできることをやっていきます。
(トラウマの癒しも、広い視野で見れば十分環境活動だと思っています)
下島さん、奥様、お嬢様、本当に本当にありがとうございました!
また絶対に遊びに行きます‼️
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