7月10日、快晴の旭川で、れいわ新選組から比例区で参院議員に立候補している、安冨歩(あゆみ)・東京大学東洋文化研究所教授の選挙を一日お手伝いしてきました。
わたしは数年前にこちらの記事を読んで以来、安冨先生の大ファンなのです。
彼女が昨年、埼玉県の東松山市長選に立候補した時は衝撃でした。
なぜなら、彼女の選挙戦も演説も、このうえなく素晴らしかったからです。
「子どもを守ること」を唯一の公約に掲げ、
16歳の少年が暴行死した事件の舞台である市内の河川敷で花を手向けて祈り、
馬やチンドン屋を連れて街を練り歩き、
駅前で音楽ライブを敢行する。
選挙カーで街宣する時も、ラップに乗せて一見ふざけた感じでメッセージを流し、
何より、やっている本人たちが一番楽しそうだった。
一方で、彼女の主張は本当に真剣で、あまりにも本質を突いている。
彼女のある日の演説の中の、さらにごく一部を抜粋したのが以下です。
(テープ起こししてくださった方、どうもありがとうございます)
特に、私のような、高学歴、京都大学、私は京都大学の卒業ですが、京都大学や東京大学といったエリート校を卒業する人々というのは、子供のときから、ずっと、■くらい勉強しています。
私が東大の試験監督をして毎年思うんですけれども、ものすごく沢山の学生が、トイレに駆け込む。
試験が始まる前も、トイレに長い行列ができます。
ある年には、あまりにも行列が長くて、試験時間を遅らせるっていうことが発生して新聞記事になったりもしました。
で、ある時、学生に、聞いたんですが、つまり、試験が始まってもですね、すぐにまた、トイレに駆け込む子供達がいます。
で、その子達に、付き添っていかないといけないので、そのときに、「なぜトイレに行くの?」って聞きました。
それは、東大の入試問題というのはものすごい量があって、それをですね、2時間とかの間に解かないといけないんですが、2時間では全然足りないんですね。
で、「どうして、そんなに大変なテストを受けているのに、トイレに行ったりするの?」って聞いたら、「お腹痛いんです。」って、その学生は訴えてきました。
「そうだな、そりゃそうだよな。」って、思ったんですが、その東大の入試会場に現われる子供たちは、生まれたときから18年間あるいはそれ以上に亘って、親の強い期待の中で勉強をして、その才能を伸ばして、東大に入って欲しいっていう、親の強い期待を受けて、そして、それに応えながら生きてきた子供たちで、それがですね、まさに、その最後の審判の日に鉢合わせた、審判の日がやってくるわけですね、そりゃ当然、お腹も痛くなるだろうと思うんです。
で、その、お腹の痛くなる人達は、おそらく、大学には合格していないだろう。
それだけの期待を背負い、孤独を乗り越えて、緊張しても、お腹なんかちっとも痛くならないような、鉄の情を持った人だけが東大に合格しているんだろうと思います。
ある年、数学の入試の問題が終わった時じゃなくて、テストが終わった時に、その部屋の中にですね、かなり感じの良い、女性がいたんですが、その女子学生はテストが終わった途端に、静かに涙をハラハラと流してそこに座っていました。
私は、「あぁ、この子はテスト、思ったよりできなかったんだな。」と思って、でも、それと同時にものすごく心配になって、もしかしたらこの子は帰りの電車に飛び込んだりするんじゃないかと思って、声をかけてですね、「こんな難しい変な問題、解ける方がどうかしてるんだから心配しなくてもいいよ。」って言ったら、本当にハラハラと涙を流して「大丈夫です。」と言って帰って行ったんですが、それが東京大学の入試というものです。
そういうところにですね、自ら飛び込んで行くっていうのは、やはり普通の人間にできることではなくって、それは、とてつもない強い圧力によって■されて、是が非でもですね、東大に行くんだ、みたいな、そういう力で勉強していくってことが絶対的に必要なんですね。
で、そのために、10歳から18歳くらいの人生で最も輝かしい時期を勉強に明け暮れるっていう生活を、それをいやいやするのでは絶対に東大には合格しない。
それを喜んでするっていうそういう精神状態になっていかなければ決して到達できるような、回答できるようなテストじゃない。
例えばどの科目の問題を見ても、試験監督のときに見たら私は全くわからなくて、「よくこんなもん解くよなぁ。」って思いながら、試験監督をしていましたが、非常に難しい問題なわけですね。
それを18歳という人生の最も輝かしくて美しい時代の時間を犠牲にして勉強を続けて、お腹が痛くなるような空間に■を残すことができるということは、子供たちは、間違いなく、自分は存在するだけで意味があるとは思っていないんだと、そうではなくて、自分は存在するだけでは意味が無く、成果を挙げることによってのみ生きることができるっていう風に信じている。
親から、毎日、いい子にしていれば生存していいよという、生存切符を発行してもらって、それを毎日発行し続けてもらっているっていうような、そういう体質の子供たちが、東京大学や京都大学のようなエリート校に合格するんだと思います。
(中略)そういう精神状態で、追い込まれた人間っていうものは、エリートになって、その後、考えることは、ただただ、偉い人に褒められたり、偉い人には叱られないようにしようという、そういうエネルギーで仕事を続けるのであって、自分がやりたいことをやり続けるとか、楽しいことをやるとかいうのは非常に強い罪悪感を覚えるようになります。
だからこそ、受験勉強をするという、自分自身にとっては何の意味も感じられないようなものに、全エネルギーを注ぐことが可能になります。
(中略)さらに、司法試験とか、外交官試験といった多くの試験を潜り抜けることによって、東大のエリートたちは、官僚になっていきます。
で、そのような、人々が、私達の社会の中枢にいるっていうことを皆さんにご理解頂きたい。
最近の、モリカケ問題とかで、東京大学を卒業し、エリート省庁の本当にトップエリートにまで上り詰めた人々が、平然とですね、ニヤニヤしながらいい加減な嘘をついて政治家に媚を売るという様子を見てですね、何であんなに優れたエリートたちがあんなことをするのだろうという風に皆さんは思っておられるかもしれませんが、それは間違っている。
何でエリートなのにではなくて、あれは、エリート中のエリートだからするっていうことなんですね。
そのような人々によって、指導されている国は、必然的に子供たちに非常に強い圧力や抑圧を加えるということになります。
ですから、その現代のシステムは、そのような学歴エリートに有利なように、学歴エリートといったから、肯定されるように、設計されています。
なので、ごく普通にこのようなシステムの中で子供を普通に育てるということは、そういったシステムの中に、子供の魂を投げ込むっていうことになります。
私が、「子供を守ろう」といっているのは、そういう意味です。
現代社会で、普通だと思われているようなことに、子供を普通に育ててしまうと、子供の魂を踏み潰してしまうことになる。
なんて、なんて、なんて素晴らしいんだろう。
わたしは彼女の市長選をずっとSNSでフォローして、ますます彼女のファンになりました。
残念ながら落選したものの(にわか立候補で7000票も集めたのはすごいと思います)、
選挙戦を振り返るyoutubeライブがまた面白かった。
(トーク開始は4分から)
選挙で彼女が心がけたことは、「意味のあることしかやらない」「当選を目指さない」ことだったそうです。
今回の参院選でも彼女は、自分のyoutubeチャンネルで「子どもを守るとは」「選挙とは」「お金とは」「税金とは」と言ったテーマでの10分間レクチャーを色々アップしていますが、
(どれもすごく勉強になります!)
その中でも改めて選挙について、とても本質的なことを語っています。
システムの作動を停止させるような者は(選挙で)勝利しない。
だから選挙に勝ったということは、システムの一部になったと言っても過言ではない。ハハハハ。
だから、システムが想定していない選挙で勝たないといけない。
システムの想定外選挙で、コミュニケーションの渦を引き起こし、社会が変革し始めた結果勝ってしまったみたいになった時に、初めて変革が始まるんだと思う。
まさに彼女は、自分の言葉通りの選挙をしていました。
アインシュタインが言っているように、
「The problems that exist in the world today cannot be solved by the level of thinking that created them.
(今日世界に存在する問題は、それを作り出したのと同じレベルの思考では解決することはできない)」
既存のシステムを変革したかったら、「システムを作っている側とは同じ土俵に乗らない」ことほど大切なことはないと思います。
東松山市長選のあと、ものすごく興奮して彼女の選挙振り返りのビデオをフェイスブックでシェアし、
「彼女がもう一度どこかの選挙に出たら、絶対選対に入るぞ!」と書いたのが、2018年7月9日。
その、ちょうど1年後に、わたしは彼女の選挙をにわか選対員としてお手伝いできることになりました。
(なぜそれが可能になったかは話せば長いので省略)
・・・我ながら、自分の引き寄せ力の強さにほれぼれします((o(^∇^)o))。
前置きだけで結構な文字数になっちゃったので、次に続きます。
馬選挙の翌日、東川の大雪山自然学校で。
集まったメンバーがまた、すごかったのです・・・。
【追記】
このブログ、最初は安冨先生のことを「彼」と表記していて、
ご本人からの指摘で「彼女」に訂正しました。
安冨先生、すみませんでした💦
人間の中に、どれほど深くジェンダーバイアスが棲み着いてるかという格好の例です(言っちゃなんですが、このわたしの中にすら!)。
深くお詫び申し上げます。
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