皆様、
札幌は連日、ものすごーく寒い日が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。
さて、今私は、カリフォルニア州の心理士免許更新のため、インターネットでいろいろなクラスを取っている最中です。
以前は、必ずカリフォルニアに戻って現地のワークショップを受講しなければ免許更新に必要な単位(CEU)が取れなかったのですが(そのせいで帰国後もせっせと米国通いをしていたものです)、
幸いなことに、何年か前に制度が変わり、現在はすべてオンラインでの受講も認められるようになりました。
カリフォルニアで心理学を学んで本当に幸運だったなあと思うのは、常に最先端の心理学に触れていられることです。
フロイトに始まる病理主体のクラシックな心理学と違い、
最先端の心理学の何とまあカラフルで楽しいことでしょう(笑)。
今回ネットでさまざまなオンライン講座を受講してみて一番印象的だったのは、
最も新しい心理学のひとつであるポジティブ心理学のクラスでした。
その講座では、ポジティブ心理学のさまざまな第一人者のインタビューが音声で聴けるようになっているのですが、
その中に、John Drimmer博士という、元「60ミニッツ」(アメリカの有名なドキュメンタリー番組)のプロデューサーだったという変わり種の心理学者のインタビューがありました。
彼がそのインタビューの中でとても印象的な話を語っているので、ここで皆さんにシェアしたいと思います。
(今日は何だか前振りが長いですね 笑)
★★★★
ポジティブ心理学の生みの親であるセリグマン博士が、ある時企業の重役を対象に週末ワークショップを開きました。
(受講料は、ものすごく高額だったそうです)
彼らが教室にやってきた時、セリグマン博士は
「今日のクラスは、とても短いものです」と言って、100ドル札の札束を取り出しました。
そして博士は、受講者をふたつのグループに分けると、
そのうちひとつのグループに対してこう言いました。
「あなたたちに、1人100ドルずつさしあげますので、
次の4時間で、皆さん1人一人が、その100ドルを、自分の幸せを増大させるために考えうる最も重要な方法で使ってください。
そうですね、皆でお金を出し合って、フィラデルフィアで最も高級なレストランへ行き、
お互いに知り合い、人生で何をやりたいかをシェアするのはどうでしょう。
そして4時間後に戻ってきてください」
そのグループが去った後、博士は残り半分のグループに言いました。
「皆さんに渡せるお金は一銭もありません。
お昼を食べることもできません。
その代わりに、皆さんには、通りを下ったところにあるホスピスで次の3時間を過ごせるように手配しておきました。
皆さん1人1人が、不治の病にかかった患者さんの横に座り、彼らと人生について語るのです。
そして4時間後に戻ってきてください」
4時間が過ぎ、ふたつのグループが教室に戻ってきました。
博士は、おいしい食事を楽しんだグループに尋ねました。
「この4時間の体験から皆さんが得た意味や幸福、報酬を10段階で評価すると、いくつになるでしょうか?」
彼らは答えました。
「素晴らしかったです。私たちは話をし、分かち合いました。とても良かったです。
8.5ですね」
次に博士は、ホスピスに行ったグループに同じ質問をしました。
彼らは答えました。
「10をはるかに超えています。
私たちの人生で最も重要な体験でした」
★★★★
しあわせとは、一体何なのか。
私たちは、一見自明に思えるようなこんなシンプルな質問にも、実はきちんと答えられないのかもしれません。
しあわせとは、何の痛みや苦しみも存在しないことではないし、
すべてを所有していることでもない。
この、シンプルだけどある意味究極の問いの答えを求めて、人は日々生きているのかもしれませんね。