少し前の話ですが、
(わたしは新聞もテレビも見ないので、情報が入ってくるのに時間がかかります 笑)
タレントの渡辺直美さんのことが話題になっていましたね。
東京五輪の開会式で、彼女をブタに見立てる演出プランがあったという、あの話です。
その話が明るみに出たときの、彼女の毅然とした発言は本当に素晴らしかったです。
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_60555334c5b6cebf58ce8bee
容姿に自信がない人たちが、今回の報道を見て傷つくことを心配する、
さまざまな嘲笑を乗り越えてきたであろう彼女ならではの優しいコメントにも感動しましたが、
わたしが何より素晴らしいと思ったのは、
「芸人ならやるだろう」
「渡辺直美はこの件について何とも思っていないはず」といった他者からの数々のコメントに対し、
きっぱりと、それは違うと断言していたことです。
「彼女はきっとこう思っているはず」
「彼女は全然気にしていないはず」
「彼はきっと、すごく○○な気分でいるに違いない」
「彼にこうしてあげたら、絶対喜ぶはず」
わたしたちは普段、こういう言葉を何気なく使っていないでしょうか?
「あの人はこうして欲しいに違いない」
「あの人はこういうことをされたら嫌がるに違いない」
「あの人はこう思っているだろうから、こうしよう」
対人関係で相手の気持ちや考えを察しながら行動するのは、まったく当たり前だと思っている人も多いかもしれません。
現に、わたし自身、友達からこう言われたことがあります。
「カウンセラーやったら、ちゃんと察しなあかんやん」
(会話地:大阪)
その時のわたしの答えは、こうでした。
「いや、察しないのがわたしの仕事やねん」
・・・大事なことなので、繰り返し言いますね。
相手の考えや気持ちを察しないのが、わたしの仕事です。
・・・びっくりしましたか?
「この人は、心理の仕事してるのに、人の気持ちもわからないのか???」
と、これを読んだあなたは思ったかもしれません。
でもここで、渡辺直美さんに倣って、きっぱり断言したいと思います。
あなたやわたしを含め、すべての人間は、本来、他人の気持ちなんて100パーセント分かるはずがありません。
だって、他の人は、あなたではないからです。
例えば、誰かが何かを発言したときに、それを聞いて、
ある人は傷つくかもしれません。
別の人は面白がるかもしれません。
そしてまた別の人は、全然気にしないかもしれません。
そしてまたまた別の人は、そもそもその発言が耳に入っていなかったかもしれません(笑)。
人は、一人一人、みんな違う。
我が子を事故で亡くすなど、どうみても悲劇としか思えない出来事に見舞われたとしても、
その出来事に対する反応は、一人一人違います。
ある人は何年も嘆き悲しむ。
ある人は一定期間気が狂うほど嘆き悲しんで、その後はさっさと日常に戻っていく。
(参考記事 https://premamft.com/blog/1606/ )
ある人は、感情に蓋をして何も感じない。
みんな違うのです。
何故なら、感情も思考も、あなたの内側で起こっている出来事であり、
あなたにしかそれは分からないからです。
(つまり、一人称なのです)
こういうスタンスは、欧米ではむしろ当たり前ですが、
(だから、自分の意見を表明しないと、その人は意見がないと見なされる)
「察する」「空気を読む」「わきまえる」ことが美徳とされている日本では、
いまだに、誰かの気持ちを推測したり、代弁したり、決めつけたり・・・ということがそこらじゅうで起きています。
今回の渡辺直美さんの件も、まさにその典型です。
冒頭でシェアしたハフポストの記事によると、
テレビ番組で、あるお笑い芸人が、
「渡辺さんは自分の容姿、ふくよかな体型で笑いをとってきたし感動も与えてきたし、それをもう自覚してらっしゃるので、正直この件について何とも思ってないはずなんですよ。全く興味もない。でも今何とも思ってないって今いうと、なぜなんとも思わないんだという批判の対象になるから、何かコメントを出さざるを得ないので、こういう大人な文章を出したと思う」
と、わかったようなコメントをして、
それを受けて司会者も、
「これで直美ちゃんの仕事の範囲が狭まるようなことがあったら、もっと直美ちゃんにとってはマイナス」と発言したそうです。
・・・アホか、と思います。
あなたたちは、直美さんではないのに、
(しかも直美さんと同じ性別ですらないのに)
なぜそんなにも彼女のことが分かると思い込むんでしょう?
現に、本人は自分のyoutubeチャンネルの中で、きっぱりとその手の発言を否定しましたし、
今回の件で彼女の評価はむしろ上がり、しかも拠点を米国に移すことも発表されました。
(彼女はもともと、日本という狭い器に収まる人ではなかったのでしょう)
あなたの気持ちはあなたのもので、あなたにしか分からない。
そして、あなたの気持ちは、いつでも100パーセント正しいのです。
それをどうのこうの言う権利は、周りにはまったくありません(きっぱり)。
逆に、他の人の気持ちや考えも、完全にその人のものです。
だから、「あの人はこう思っているだろう」「こう感じているだろう」と憶測をめぐらすのは、
無意味なばかりか、多くの場合有害な行為です。
だから、憶測は今日限りでやめにしましょう。
誰かの考えを知るために、あなたにできることはたったひとつです。
その人に直接聞くことです。
それ以外に、確実に相手の考えがわかる方法は、何一つありません。
それをどうぞ、覚えておいてください。
だから、相手の気持ちや考えが知りたかったら、相手に直接尋ねるくせをつけてみましょう。
そして、誰が何と言おうと、
自分の気持ちは、いつも一番大切にして、
自分の気持ちや考えを、相手に伝える練習もしてくださいね。
そうすることで、あなたの人間関係は、今よりもきっとスムーズになるはずです。
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