10月30日に、札幌のフェアトレードカフェ「みんたる」で、ちょっと毛色の変わったお話会を開きます。
ホームレスから見たアメリカ(お話・藤原ちえこ FBイベントページ)
もうかなり昔の話になってしまいましたが、
米国に留学していたとき、私はホームレスのための2つの施設でインターンをしていました。
1つは子どものホームレスのための施設で、もう1つは大人のホームレスのための施設です。
なぜか当時のことはこれまでブログなどでもほとんど書いたことがないし、人前で話したこともなかったのですが、
先月、こちらの記事をたまたま読み、当時の記憶がありありと蘇りました。
カリフォルニア州オークランドで、犯罪が頻発する地域の路上に、一人の住人が仏像を設置したところ、
その地域の犯罪率が82パーセントも減少したというのです。
その一角はかつて、粗大ゴミの不法投棄が絶えず、
ドラッグディーラーや売春婦がうろつき、盗難や暴力も珍しくなかったと言います。
ところが、仏像設置後、事態は一変。
近隣のベトナム系移民たちが自主的に供え物をし、仏堂を作り、
周囲の道路を掃除するようになりました。
それ以来、地域の犯罪率は激減し、
誰も粗大ゴミを捨てることがなくなり、
仏像の前は、人々の憩いと交流の場になったそうです。
この記事を感心しながら読んでいて、ふと気づいたのです。
自分がかつて、この仏像が設置されている交差点からわずか2キロの地点に住んでいたことを。
私は当時、そこにあったホームレスの子どもための施設で住み込みでインターンをしていました。
そのエリアも、相当に治安が悪いところで、
私が住んでいた年、オークランド市では100人以上が射殺され、市内でも最も犯罪率が高い地域の一つとして新聞でも報道されたくらいです。
(ちなみに、米国での銃による死者は年間3万人以上です)
住人のほとんどは黒人で、周辺で日本人を見かけたことは一度もありませんでした。
そんな、日本人はまず絶対に住まない地域に1年間住み、ホームレスを抜け出したばかりの子どもたち(アフリカ系、南米系、中国系)と過ごしました。
彼らに関しては、話したいことがいっぱいあります。本当にびっくりするような出来事の連続でした。
そこの施設を(力尽きて 笑)辞めたあとは、半年間、オークランド近郊の3つの街で、ホームレスの大人たちの支援センターでのグループセラピストとして働きました。
ものすごく大変だったのに、なぜまたホームレスと働くことになったのか。
当時、アメリカはクリントンからブッシュに大統領が交代した時期で、
メンタルヘルス系の予算がどんどん削られ、アメリカ人でさえ仕事を見つけるのは難しく、
言葉にハンディがある日本人が仕事を見つけるのは至難の技で、
誰もやりたがらないような仕事しか残っていなかったからです。
(もっともハードな人々と働いた経験は、そのあとの臨床にものすごく役だったので、今となっては感謝しかありませんが。おかげで私、統合失調症の人と面接するのになんのためらいもありません)
案の定こちらは、輪をかけて強烈な体験でした。
そこを利用するホームレスの人たちは、ほとんどが、薬物かアルコール依存プラス何らかの精神疾患を抱えていました。
(だからこそ、彼らは路上にいるのだとも言えます)
でも、見た目の強面さとは裏腹に、内面はとても繊細で優しい人も多く、
彼らの優しさや繊細さに感動することがよくありました。
そして、センターには元薬物依存患者だった当事者スタッフが何人もいて、
彼らと働くのも、非常に興味深かったです。
(当時は「面白い」なんて言ってる余裕は全くありませんでしたが)
米国のホームレスは現在、55万人以上いると言われています。
島根県と同じくらいの人口の人々が、頭上に屋根がない場所で寝起きをしている。
目眩がするような数字です。
でも、その55万人のそれぞれに、路上に出るに至った経緯があり、暮らしがある。
彼らの魂が、私たちと比べて劣っている訳ではない。
彼らも、大切な地球の一員です。
私が出会ったホームレスの人たちは、砂漠のわずか数粒の砂に過ぎませんが、
それでも、一人一人、顔と名前がある人間としての彼らに出会えたことは、とても幸運なことだったと思うのです。
そんな、ホームレスの人たちについての話を聞いてみたいと思われる方、ぜひおいでくださいませ。
(暗い話ばかりではなく、びっくりするような面白い話も結構ありますよー)
お話会の収益は、全額、今回の台風で床上浸水した知人に送る予定です。
藤原ちえこお話会「ホームレスから見たアメリカ」
【日時】10月30日(水)18:30ー20:00
【場所】フェアトレード雑貨&レストラン みんたる(札幌市北区北14条西3丁目)
【参加費】参加費 1500円(ワンドリンク付き)
【参加方法】
予約不要です。直接会場へお越しください。
(こちらのFBイベントページで「参加予定」ボタンを押していただけると、おおよその人数が把握できるので、よろしければ!)
藤原ちえこのセラピーセッションの説明はこちらです。
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