こちらの記事の続きです。
乳児院で娘と初めて対面してから、我が家に迎え入れる予定の日まではわずか10日余り。
その10日間は、仕事の合間を縫って何度も乳児院に通い、
毎回1時間ほど、ミルクのやり方やおむつの替え方を教わったり、ベランダを散歩したり、ただ抱っこしたりしながら一緒の時間を過ごしました。
並行して、布おむつや粉ミルク、赤ちゃん布団などを買い揃え、チャイルドシートを入手し・・・と、大慌てで家の中を赤ちゃん仕様に整え、
体温計、ベビー用綿棒、爪切り・・・とひとつひとつ増えていくベビー用品を見るたびに顔がほころんでしまう、幸せな日々でした。
その短い準備期間の間に、ひとつ忘れられない体験をしました。
乳児院訪問、3回目の時のことです。
娘とベランダを散歩し、ミルクをあげた後、彼女を抱いて部屋の片隅にあるソファに座りました。
すると、腕の中にいた彼女が、真っ黒な目でしっかりとわたしを見つめ始めたのです。
時間にして10分ほど。
その間、彼女はほとんどまばたきもせず、
わたしも、彼女の瞳から目が離せませんでした。
そんなに長い時間誰かと見つめあったのは、あれが最初で最後です。
その時間はなんと言うか、
世界から音がすべて消え、周りの風景も消え、世界にたった2人だけになったような気がしました。
まるで恋みたいですが(笑)、
恋をはるかにしのぐような、とても神聖で特別なことが起きているというありありとした実感がありました。
彼女の目は、わたしの存在の奥深くまで見透かしているようでした。
わたしが一体何者で、
わたしという人間が、彼女を育てるのにふさわしいかどうか。
それを、こちらを値踏みするのではなく、ただ純粋に観察し、感じ取ろうとしているような目でした。
(ちょっとダルシャンみたいでした)
そして、わたしが話しかけると、じーっとこちらを見たまま、私が言っていることが全部分かっているような顔をしていました。
その顔を見ていると、彼女こそが、何度もわたしのお腹に来ては去っていった魂なのだという確信が改めて湧いてきました。
思えば、最初の流産から9年余り。
やっと、やっと、やっと、肉体を持つ彼女に出会うことができて、
わたしの空っぽの腕の中も、とうとう埋まったのです。
長かった。
でも、待っただけの甲斐はありました。
彼女はこの2月で5歳になりましたが、
とびきり可愛く(保育園のママ友からは、桐谷美玲に似ていると言われます♡)、
利発で、気が強く、自分をしっかり持っている。
ものすごく強い魂です。
そんな彼女を育てさせてもらえて、心から光栄に思っています。
ミヨ(仮名)、なんとか私のところへたどり着く道を見つけてくれて、本当にありがとう。
・・・続く。
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