日々クライアントさんとセッションをしていると、時々、すさまじく感動的な場面に出くわします。
そういう時はよく、相手が目を閉じているのをいいことにこっそり泣いている私ですが(笑)、
今日1件、あまりにも感動したセッションがあり、本人の前で大っぴらに泣いてしまったばかりか、彼女が帰った後も一人で号泣してしまいました。
ご本人の許可を得て、そのお話を少し書いてみます。
彼女と同じ気持ちでいる人たちの希望になることを願いつつ。
自分が汚れた存在だと感じている人は、世の中にたくさんいます。
自分の身体全体が汚らわしいと思っている人もいれば、身体の特定の部分が汚れていると思っている人もいます。
私のところにもそういう方がたくさんやってきます。
汚い自分に触ると、周りの人も汚れてしまう。
だから人とのスキンシップを避ける。
自分の正体がバレないよう、いつも何かのふりをしている。
「私が触ると、植物が枯れる」と真剣に信じている方さえいたほどです。
もちろん、彼女たちは全く汚れてなんかいません。
本当に汚れているのは、彼女たちに汚らわしいことをした相手の男たちに決まってます。
でも、その、「自分は汚い」という感覚は、理屈ではねじ伏せることはできません。
そう感じてしまうほどに、幼い頃に彼女たちが受けた体験は過酷だったのです。
今日セッションを受けに来てくれたAちゃんも、そんな女性たちの一人でした。
Aちゃんが汚いと思っていたのは、自分の右手でした。
自分の右手で触ったものは全部汚れてしまうから、セラピールームのドアを開けるのも、必ず左手。
ソファに触るとソファが汚れるから、右手は絶対に自分の膝の上。
最後に支払いをするときも、お金を渡すのは絶対に左手で。
小学生のとき、隣の席の友達に「消しゴム貸して」と言われたけど、自分がいつも右手で使っている消しゴムだから、貸せなかった。
それを使うと友達も汚れてしまうから。
でも友達には、私が意地悪をしたと思われた。
そんな話を、泣きながらしてくれたこともありました。
Aちゃんは、2年前に私とのセラピーを始め、
セッションを重ねながらゆっくりゆっくり自分を取り戻していき、
いつしかソファに手を置けるようになり、
いつも映像や感覚が邪魔をして話せなかったことも話せるようになり、
ついに今日、セッションの終わりに私にこう言ったのです。
「今日は、右手でお支払いをしたいんですけど、いいですか?」
もっちろーんですとも!!
彼女はお財布からお金を取り出し、
なぜか床に正座して(笑)、
私の目をまっすぐ見ながら、しばらくためらったのち、右手で私にお金を渡してくれました。
渡した瞬間、彼女の目からも、私の目からも涙。
・・・私、本当にうれしかったです。
そして、玄関で靴を履いた彼女は、しばらく呼吸を整えたあと、右手でドアを開けて帰っていきました。
ドアを閉める時、彼女はぽろぽろ泣いていました。
・・・もう私、号泣でした。
彼女が今日踏み出したステップが、断崖絶壁から大荒れの海に飛び込むほどの、どれほど勇気のある一歩だったか、私にはよく分かります。
そのステップを彼女は、自分の力で飛んだんです。
そして私は、それを目撃させていただいたんです。
・・・本当にこの仕事をしててよかった。
Aちゃん、ありがとう。あなたは本当のヒーローです。
心から、あなたを誇りに思います。
2年前のAちゃんと同じ気持ちでいるあなたへ。
どんなに自分が汚れていると感じていても、その感覚が変わることは必ず可能です。
ただ、その作業は決して一人でやろうとはしないでください。
私たちはみな、お互いを必要としています。
どうぞ、信頼できるセラピストに助けを求めてください。
あなたにとって、助けを求めること自体、どれほど勇気がいることなのか私はよく知っています。
でも、必ず助けはあります。
思いきってジャンプしてみましょう。
私のハートは、いつもあなたと一緒にいます。