買い物考


私は街に買い物に出るということをほとんどしない人間なのですが、今日街中で人と会う用事があったので、その帰りに本当にひさしぶりに、閉店セール真っ最中のロビンソン札幌に足を運んでみました。冷やかしではなく、季節が変わって着るものがなくなってしまったため(笑)、何かを買うつもりで行ったのです。

ところが・・・どのお店をのぞいても、まったく買いたいと思うものが見つかりません。もちろん自分のテイストとは違うということもあるのですが、何よりも素材で欲しいものがない。あまりにも合成繊維のものばかりなのです。傘や靴などの小物を見ても、まったく食指が動きません。

上から下までぎっしりとものがあふれているデパートで、ひとつも欲しいものがない・・・というのは、いろいろなことを考えさせられる体験でした。すぐに思い出したのが、アメリカのどこにでもある大きなスーパーマーケット、safewayです。あそこでも、倉庫のようなだだっぴろい面積に本当にぎっしりと食べ物や家庭用品が並んでいながら、ひとつも欲しいものが見つかりませんでした。すべて添加物だらけだったり、どぎつい色の飲み物や人工的な香りのせっけんだったり、化繊やプラスチック製の商品だったりするので。これが同じスーパーでも、wholefoodsのようなオーガニックスーパーだったら、お茶にしてもパンにしてもデリのスープにしても、欲しいものばかりで、ぜんぜん足が前へ進まないというのに(笑)。

こういう体験をすると、一体、モノとは何なのだろう・・・と思います。以前マスコミで働いていて常に時間に追われ、家で食事を作る暇などほとんどなかった時は、洋服を買うにしても、気にするのはブランドや他人からどう見えるかというデザイン面ばかりで、素材が何であるかや、着心地などはほとんど考えませんでした。食べ物にしても、とりあえずすぐに買えるものや楽に調理できるものであればよかった気がします(そもそもほとんど毎日外食でした)。ところが今日などは、ちょっと気に入ったデザインのセーターでも、手で触って化繊だと分かった瞬間、身体がもう受けつけません。ましてや、身体の中に取り込む食べ物であれば尚更のことです。

忙しい現代人は、かつて私がそうだったように、自分にとって何が心地よく、何が心地よくないかという感覚が鈍っているのだろうなあ・・・と感じます。でも感覚が鈍っていたとしても、騒音にしろ、空気の汚れにしろ、周囲の不純なものからくるストレスは確実に受けている。だから気づかないうちに心身が蝕まれ、さまざまな病気になって出てくるのでしょう。

・・・たかだか30分ほどのデパート滞在で、こんなことをつらつらと考えてしまいました。たまには街にも出てみるものです(笑)。