「受け取る」ことについて


皆様、

10月に入り、札幌は一気に秋の気配が濃厚になりましたね。朝晩冷えてきましたが、風邪などひいていませんか?

さて、アメリカのヒッピームーブメントの立役者であり、かの有名な「ビー・ヒア・ナウ」の著者であるラム・ダスの有名な言葉に、
「あなたが悟りを開いたと思ったら、実家に戻って親と一週間暮らしてみなさい」という名言があるのですが、
先日、電話で母親と大ゲンカしてしまい、私は悟りには程遠いことが判明いたしました(笑)。

でも、以前より自分が少しはましになったなと思ったのは、その喧嘩の内容からとてもたくさんの気づきがあったことです。
忘れないためにそのひとつをちょっとここでブログに書いておくことにします。
(「手抜きかあさんシリーズ」の続きはしばらくお待ちくださいませ)

喧嘩のテーマは、「人からお祝いをいただく」ことについてでした。

うちに娘が来て以来、遠くに住む母の知人が何人か、わざわざ娘のためにお祝いをくださったのですが、
そのことを知らせてくる母親の最大の関心事はいつも「お礼をどうするか」なのです。

それで、ほとんど面識のない人に対する儀礼的な返礼を負担に感じる私との間で、合意に達するべくもない不毛な言い争いがしばらく続いたというわけです。

電話を切ってから、しみじみ感じたのは、
「うちの母親は、人からの好意を純粋にただ受け取ったことが、ほとんどないんだろうな」ということでした。
そして、そんな親の元で育ったかつての私もそうだったということを思い出しました。

誰かに何かをもらったり、してもらったりすると、
以前の私は、すぐ大げさに感謝を述べ、どうやってお返ししようかと忙しく考えていました。
つまり、何かを受け取るという行為を純粋に喜んだり、体験したりする時間を自分にほとんど与えていませんでした。

でもそれは、実は、「相手から、何も受け取っていない」ことに等しいのですよね。

それを私に気づかせてくれたのは、一人の大切な友人でした。

もう何年も前になりますが、私は、このブログでその友人のことを書いたことがあります。
(彼女の存在と励ましから、いかに自分がいつも力をもらっているかについて)

私は時々、自分の大好きな人たちのことをこうしてブログに取り上げますが、
それについていちいち本人に報告したりはしません。
(その人が外国人で、そもそも日本語が読めないことも多いですしね)

そのときも、特にそのことについて彼女に連絡したりはしませんでしたが、
何日か後に、たまたま私のブログを見たらしい彼女からメールが来ました。

確か、メールのタイトルは「受け取った!ありがとう」だったと思います。

メールの内容は、
「私について素敵なことを書いてくれて、ありがとう。
少し前までの私だったら、すぐ『えーそんなことないよ~』とか、
『ちえこにもこんなに素敵なところがあるよ~』とか言いたくなったりしたと思うけど、
今回、ちえこの言葉を純粋に受け取ることに専念してみた。
受け取ったよ!」というものでした。

それを読んで、目からうろこがぼろぼろと落ちたのを覚えています。

純粋に受け取るって、そういうことなんだ。
そして、「純粋に受け取る」ことと、「純粋に与える」ことは、まったく同じことなんだとも。

正直、彼女がメールをくれるときには、
きっと私の良いところもお礼に言ってくれるんじゃないかと(笑)無意識に期待している自分がどこかにいました。
だってそれはいつも、私がやっていたことだったから。

でも、本当に受け取るとは、相手の行為を純粋に喜びとして感じることだけで、
「あ、お礼しなきゃ」と思った瞬間、それはもう純粋な喜びとは違うものになってしまいますよね。
同じく、本当に与えるというのは、与える行為自体が喜びであって、
与えたのに相手がお礼もしてこない、などと思うこと自体、本当の意味で相手に与えたことにはならないのです。

それに気づいて以来、私は夫が、誰かに何かをしてもらってもろくすっぽお礼もしないことにやきもきしなくなりました。
彼のほうが、相手の行為を純粋に受け取っていることがよく分かったからです。

先日の電話で、「ただいただいて、うれしいって思っているだけではダメなのか」という私と、
「習慣だから」「私たちの年代ではお返しするのが当たり前だから」と繰り返した母。
溝は結構深いですが、そんな母のありのままを受け入れることが、私が悟りに近づく第一歩だということですね(笑)。

人に何かをしてあげたときに、何の感謝もされないとむっとする自分は、私の中にもまだいます。
でも、もっともっと純粋に受け取れるようになりたいので、純粋に与える練習をこれからも続けたいと思います。
「受け取る」ことと「与える」ことは同じですからね。

(あ、それと、これは、私が人に何かをしてもらったときにまったくお礼をしないということではありません(爆)。
うれしい気持ちが純粋で、こちらからも純粋に何かをしたくなったら、もちろんそうしてます!)

週末、支笏湖に子連れ出張してきました。紅葉が少し始まった木々の美しさに、本当に癒されました。北海道最高です。